- 在職老齢年金は、賃金(賞与込み月収)と年金の合計額が、支給停止調整額を上回る場合には、賃金の増加2に対して1支給停止する仕組みです。
支給停止調整額は、厚生年金保険法第46条第3項の規定により、名目賃金の変動に応じて改定され、令和6年度の支給停止調整額は「50万円」となります。
60歳代前半に特別支給の老齢厚生年金の受給権を有する方が、引き続き厚生年金保険の被保険者として働いたときには
- 総報酬月額相当額と老齢厚生年金(報酬比例部分相当の年金)と基金の基本年金額の合計が50万円を超えると年金が支給調整されます。
- ※令和4年4月から、65歳未満の在職老齢年金の支給停止基準が、65歳以上の方と同じ基準に緩和されました。
◇65歳未満で「特別支給の老齢厚生年金」の受給権者となった在職中(厚生年金の被保険者)の方は、「国の報酬比例部分相当の年金額の1/12」と「基金の基本年金額の1/12」を合計した「年金月額(※1)」と「賞与等を含んだ総報酬月額相当額(※2)」との合計月額が50万円を超えると超えた額の1/2が支給停止となります。(※3)
なお、在職年金を受給されている方が65歳になるまでの間に退職した場合には、受給権発生日以降の就業期間も含めて年金額が計算しなおされ、支給停止が解除され年金額が全額支給されます。
※1 年金額は加給年金額を除く
※2 「総報酬月額相当額」とは、「標準報酬月額」と「その月以前1年間の標準賞与額の総額を12で除した額」との合計額
※3 支給調整は国から先に行われ、支給停止額が「特別支給の老齢厚生年金(報酬比例部分相当の年金)」の額を超える場合には、その超えた額が「基金の基本年金」から支給停止
◇また、65歳以降に厚生年金の被保険者として働く場合も同様のしくみで年金額が調整されます。
年金はどのくらい受給できるの?
●年金月額と総報酬月額相当額の合計が50万円以下の場合には全額受給できます。
●年金月額と総報酬月額相当額の合計が50万円を超える場合には調整されます。
⇒「年金月額」-(年金月額+総報酬月額相当額-50万円)×1/2
- 【計算例】
年金月額 140,000円・給与月額 300,000円・年間賞与総額 780,000円の場合
〇総報酬月額相当額の計算
① 標準報酬月額 300,000円
② 標準賞与額 780,000円 × 1/12 = 65,000円(過去1年間の標準賞与額の合計×1/12)
( ① + ② )= 365,000円
〇支給年金月額(上記の計算式に当てはめて計算すると・・・)
140,000円-(140,000円+365,000円-500,000円)× 1/2 = 137,500円
〇年金と給与の月額合計 300,000円 + 137,500円 = 437,500円
■在職老齢年金受給月額の目安 |
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本来の年金月額 | 10万円 | 12万円 | 15万円 | |||
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総報酬月額相当額 | 年金月額 | 合計 | 年金月額 | 合計 | 年金月額 | 合計 |
24万円 | 10万円 | 34万円 | 12万円 | 36万円 | 15万円 | 39万円 |
28万円 | 10万円 | 38万円 | 12万円 | 40万円 | 15万円 | 43万円 |
32万円 | 10万円 | 42万円 | 12万円 | 44万円 | 15万円 | 47万円 |
36万円 | 10万円 | 46万円 | 12万円 | 48万円 | 14.5万円 | 50.5万円 |
40万円 | 10万円 | 50万円 | 11万円 | 51万円 | 12.5万円 | 52.5万円 |
44万円 | 8万円 | 52万円 | 9万円 | 53万円 | 10.5万円 | 54.5万円 |
48万円 | 6万円 | 54万円 | 7万円 | 55万円 | 8.5万円 | 56.5万円 |
50万円 | 5万円 | 55万円 | 6万円 | 56万円 | 7.5万円 | 57.5万円 |